今回は「フォントのアウトラインをとる」のお話をさせていただきたいと思います。
印刷物を多く扱う広告代理店の人や、企業の販促担当や広報担当の方の中には、印刷用の入稿データを扱う人も多くいらっしゃると思います。
そのような業務にあたる中で、よく「フォントはアウトラインをとってください」と印刷会社に言われて、デザイン会社にそのまま伝言した経験がある人はいらしゃいますでしょうか?
よく意味が分からずに、何となく伝言したことがあるという方もいらっしゃるかもしれません(笑)
確かに、実際にソフトを触ったことがないと、なんとなくイメージがわきづらい部分かもしれません。
ここから順を追ってご説明していきたいと思います。
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★1:そもそも「フォントのアウトラインをとる」とはどういうこと?
→印刷用のレイアウトデータは Adobe(アドビ)社のIllustrator(イラストレーター)というソフトを利用することが多いです。特にページ数が嵩むものでなければこのソフトで制作されることがほとんどかもしれません。
そして、デザインをする際にはパワーポイントで資料を作る時と同じように、フォント(書体)を選んでレイアウトに配置していきます。
キャッチコピーも、細かいリード文章も全てフォントが割り当てられた文章です。
そして、「フォントのアウトラインをとる」ということは、このフォントの割り当てられた文章を形状化して図(絵)にしてしまうということです。
丁度このページの一番上にあるアイキャッチの写真が参考になるかと思います。
じっくり見てみてください。上段が「アウトラインをとる前」で下が「アウトラインをとった後」です。
また、アウトラインをとった部分を拡大すると下記の画像のように文字の周囲がアウトライン化され、画像化されているのがお分かりになるかと思います。
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★2:なぜフォントのアウトラインをとる必要があるのか?
→デザイナーは様々なフォントを利用してデザインを行います。
メジャーなフォントからマイナーなフォントまでこの世界には数えきれないようなフォントが存在しています。
では、それをそのまま印刷会社に入稿したらどうでしょうか?
凄くメジャーなフォントであれば印刷会社も持っている可能性があります。
ただ、凄くマイナーなフォントだったら?
印刷会社が持っていなければそのフォントは文字化けしてしまいます。
では、デザイナーが使ったフォントを一緒に渡せばいいじゃないかという考え方もあります。ただ、フォントの利用規約上、渡せない場合もあります。
そのため、どんな環境の印刷会社でも意図するデザインで印刷してもらえるように、フォントのアウトラインをとって図(絵)にしてしまってから入稿するのです。
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★3:アウトラインをとる際の注意点って何?
→フォントのアウトラインをとって一度、図(絵)にしてしまうと、あとでまたフォントに戻すということができなくなります。そうするとテキストを抽出できなくなるんですね。
例えばカタログを作っていて増刷する際に少し文章を変えようと思っても該当箇所にテキストを一気に流し込んで差し替えるということが簡単にできなくなってしまいます。文字数か変わってしまえば行送りも丁度良くできません。
そのため、ほとんどのデザイナーは、「アウトラインをとる前」のまだテキスト情報が残っているデータと、「アウトラインをとった後」の2つのデータを保存しておきます。
「アウトラインをとる前」のデータを持っていれば次に修正依頼が来た際に修正しやすいためです。
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上記の理由から、クライアントさんが希望された場合、私たちは「アウトラインをとる前」と「アウトラインをとった後」の2種類のイラストレーターのデータをお渡しすることにしています。
これによってクライアントさんは「アウトライン前のデータ」を弊社ではない、別の制作会社に渡して簡単に対応してもらうということもできるようになります。
デザイン会社さんによっては、「そもそもデータ自体渡さない」だったり、「アウトラインをとったものしか渡さない」という方針のところもあります。
それには権利の問題などいくつもの理由がありますし、単純に自社に継続依頼してもらうために元データを渡したくないという気持ちもあると思います。決して間違っているということではありません。
むしろ正当に正しいことだとも思います。
ただ、私たちはお渡しする方針にしているというだけです。
いかがでしょうか?
文章だけだと分かりづらい部分もあるかと思いますが、もし誰か一人でもフォントのアウトラインについて理解を深めて「役に立った!」と思っていただける人がいれば嬉しいです。
私たちはとっつきやすく何でも相談できる「ごきげん」な制作会社です。
株式会社プリズム
https://www.prism-bright.com/